《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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平松良子『句集 天恩』(本阿弥書店)より
2021.12.09
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1990年。
「雲母」同人。第2句集。
稲架木解くひとりの音の湖国かな
枯れてなほ枯るるもの音鎌倉は
梅挿してあり梅の木の下の墓
日論は睫毛に重し蕗の薹
巨木より苗木に春の隣りをり
初蝶や艦を真横に見てをれば
籾蒔いて夕べの空を広くしぬ
眼のとどく島より年のあらたまる
どの鹿も伏せて地のいろ二月尽
竹の皮落ちしばかりの後光かな
鬼灯のいろや寝ぎはに見る月は
輪くぐりやきのふはただの坂のみち
越前は稲架の高さの風吹けり
朴の葉の枯れて石垣いろの村
枝折戸に雨が霰となる明り