《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 藤埜まさ志『句集 木霊』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

藤埜まさ志『句集 木霊』(角川書店)より

2022.02.17



2018年。
「森の座」同人。「群星」代表。第3句集。

嫁ぐかの柩の母の花衣

籐椅子に坐すや亡夫の押し返す

そこここに爆ずるゴーヤや敗戦日

枯れきつて骨うつくしき欅かな

麓まで垂るるその列初詣

冬耕も詩嚢も天地返しかな

兵卒の大きな墓標冬菫

冬日撥ね枯山水の波頭

吾を照らすナースやバレンタインの夜

種牛の波打つ背や下萌ゆる

料峭や老攫ひゆく介護バス

御虎子(おまる)へのうんち初めて桃の花

高階の玻璃満帆に大南風

大小の無き万国旗青嵐

まるで月面廃寺にあまた蟻地獄

舳みな南風に向けて漁れる

太刀魚の無垢のしろがね海に抜く

梟の鳴くや眠剤効き初むる

猟犬の己が血を舐め山昏るる

春雪の富士が正客能舞台

筆塚のさすが雄筆梅の花

願ひは秘密合せ貝めく絵馬ぬくし

蜷進むカイゼル髭は櫂のやう

脳の襞このごろ平ら蜷の道

円座して柏餅の葉重ね合ふ

句敵てふ女ともだち業平忌

夏霧や修験の列の忽と消ゆ

孔雀舎の落羽根にも眼露けしや

一揆のごと案山子集まる棚田かな

ご城下に嫁して萩掃く暮らしかな

一盛りの馬糞(ボロ)美しき大夏野

軍馬その帰還は聞かず枯野原

息白く傍聴券の列に蹤く

母子像はおほよそ祈り木々芽吹く

春光の珠打ち合うて堰しぶく

ふらここの揺れ残りたる別れかな

蛇出づや頭に総身を従はせ

塊と咲き一ひらごとの落花かな

花筵二枚連ねて三世代

街に一つの湯屋の煙突つばめ来る

動物園にヒトの仔溢れうららけし

碧天の雫一滴ひばり落つ

白鳥座の顎を射抜きて星流る

降り積みて落葉地球を太らせる

硬券へM字のパンチ初電車

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