《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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川上弘美『句集 機嫌のいい犬』(集英社)より
2022.02.20
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2010年。第1句集。
はつきりしない人ね茄子投げるわよ
C難度宙返りせる春のたましひ
初夢に小さき人を踏んでしまふ
少しだけ飛ぶにはとりやゐのこづち
目覚むれば人の家なりチューリップ
おたまじやくし諸手に掬ふこぼれ落つ
音高く庖丁つかふ立夏かな
恋文をみせあふ少女百日紅
布かけて文鳥の籠冬深む
少年の手淫にねむる小雪かな
ポケットに去年の半券冬の雲
膝たてて膝の匂ひや冬深む
きみみかんむいてくれしよすぢまでも
草踏んで会ひにゆくなり日の盛り
夏の雨Tシャツの狎れたるを捨つ
散髪のあとのさみしさ鳥雲に
エヴァンゲリオン
卯の花腐し少年父を憎みえず
ごきぶり憎し噴きつけても噴きつけても
秋晴や山川草木皆無慈悲
東京は穴多き街鳥渡る
冷まじや銀河系星二千億