《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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安達しげを『句集 からす唖々』(私家本)より
2022.03.02
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平成13。第5句集。
読初めやコミンテルンの崩壊史
落椿大地の鼓動聴くかたち
客容れてから風鈴の舌はしゃぐ
手を離れ手へ戻る子や青き踏む
扇風機生くるに飽きし如き音
眦に光るもの溜め角切らる
交響曲終り師走のシャンデリア
峯雲の下剋上むくむくとかな
寒鴉なゐ跡に唖々人へ唖々
古稀傘寿頷き合ひて心太
三尺寝臍のゆがみを覗かせて
月へ来て妻透明となりにけり
落とし水土を噛み土水を噛み
吸ひながら煙草やめると四月馬鹿
マネキンにまばたきなかり四月馬鹿
仮りの世の倖せも仮り初詣
花仰ぎ一重となりしあぎとかな
水馬水の固さを信じ跳ぶ
花は葉に濠の底にも天守閣
細うなじアイスクリームの味をいふ
句座涼しナイアガラ瀧見て来しと
一樹もて一景なせり櫨紅葉