《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記
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井上弘美『句集 あをぞら』(富士見書房)より
2022.03.31
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平成14年。
「泉」同人、「聲」会員代表。第2句集。
病み抜いて母は蛍となりにけり
刃物売り秋風切つて見せにけり
校長のしばらく子供神輿押す
菊人形背筋に水を差されけり
即身仏かさりと雪の崩れけり
礼をして耳うつくしき卒業子
夏料理ましろき紙のかぶせある
波ひとつづつ踏み歩く盆休み
火祭りの炎粘つて来たりけり
踏青の影のいくつも生まれけり
秋の滝音から落ちて来たりけり
サングラス波ゆつくりと崩れ出す
羽衣を忘れてきたる昼寝覚
濁流を一本とほす野分晴
眉太くなりしと思ふ毛皮着て
夜咄や上は使はぬ蚕部屋