《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 前田攝子『句集 坂』(朝日新聞社)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

前田攝子『句集 坂』(朝日新聞社)より

2022.04.01



2001年。
「氷室」同人。第1句集。

冱てて望遠鏡を離れぬ子

須弥壇へ底冷の階上りけり

囀の中の一羽に籠の鳥

すこやかな飛天の蹠夏兆す

夕焼けて試合に負けし子の帰る

合掌の仏に首(かうべ)なき炎暑

傷深き葉より風来る破芭蕉

盛砂の影尖りたる冬日向

初湯して自愛の心きざしけり

寒林やわが足音に振り向きぬ

ゆく春や吾いつよりか雨女

たてがみに風あそばせて日の永き

教へ子が集金に来て年暮るる

風光る子はフラミンゴ色の爪

うらうらとけふ夢殿の扉を開く

滝見とて鎖伝いに下りにけり

秋澄むや仏足石に魚の絵

冬波の彫りを深めて崩れけり

紙を漉く雪をいざなふごとく漉く

ふらと来てすぐに掛かりし松手入

神留守の鉛筆の芯よく折れる

返り咲くあやめの離ればなれかな

懐に賞与明細寄り道す

撓ふことはじめてゐたり今年竹

網棚に梅雨傘二本太宰の忌

遠花火見るふり父の項見る

烏賊干して風にふくらむ割烹着

登山服脱げば忽ちわれ古ぶ

芒また芒子の先飛騨の国

羽閉ぢてしろがねいろや冬の蝶

護摩行の数珠繰る音も寒の内

引鳥や海の色して川太し

一頭の長嘶きに雪解かな

桜満ち手の甲冷ゆる夕べかな

鉄の窓開けて涼しき石の家

むささびの闇へ灯して祖谷の宿

水に影生み水鳥となりにけり

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