《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 柳瀬旬『句集 旅びと』(狩俳句会)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

柳瀬旬『句集 旅びと』(狩俳句会)より

2022.05.08



平成11。
「狩」同人。第1句集。

寒紅をさしてをさなきことを言ふ

ちぎり絵の糊のはみ出し春隣

もてなしの冷房強くうちとけず

皓き歯のいよいよ皓しサングラス

底履きの厚きゴム底小鳥来る

背凭れのなき民具椅子春愁ひ

豊かならざる胸に挿し愛の羽根

焼芋の灯へ自転車の灯がとまる

寒戻りちりとも鳴らぬ猫の鈴

片方の手の芝に触れ籐寝椅子

数へ日や買ひ足すものに電池二個

ラケットの柄を沈ませてうまごやし

喪の家やかたちばかりの日除して

耳打ちの白息ことのほかゆたか

煤逃げの尻ポケットに鳥図鑑

まばたきをしばらく忘れ昼寝覚

老犬の寝息を聞きにゆく良夜

いと軽きもの小春日の東司の戸

火の恋し人言ふままに葬り終へ

洗面の眉まだしめり朝ざくら

風を呼びよせて大名竹の秋

朝顔の開きてひらききれぬ襞

珈琲の豆がどうのと日向ぼこ

数へ日や湯舟の中に指を折り

しばらくは眼で追ひ春の蚊と思ふ

火に焙るパン切りナイフ聖五月

上目づがひに何も見ずソーダ水

草市や小銭こぼれて音のせず

複製の画に見下され風邪心地

鍋に蟹がさと殺生始かな

法灯にちかぢかと坐し火の恋し

誰からも好かれて独り花氷

香水のあと一吹きをためらひぬ

蔓のばら這はせて二人きりの家

もろともにとぶ紙コップ花吹雪

黄落やかはらぬ位置に夫の肩

顔見世を観にゆく顔の揃ひけり

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