《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 木田千女『句集 お閻魔』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

木田千女『句集 お閻魔』(角川書店)より

2022.05.16



平成20。
「天塚」主宰。「狩」同人。第5句集。

兜太派も狩行派もゐて初句会

行き過ぎかいや生き足らぬ雑煮餅

酒きらひ男もきらひ白浴衣

粥すすり涙もすすり十夜婆

矢一本持つ神将や冬はじめ

奥祖谷の目も鼻もなき土雛

月光のくびれし腰をお身拭

久女のごと家捨てられず瓜刻む

袋角熱しや八十路とて女身

お閻魔へいまさら許してなど言へず

新米と貼りて一膳飯屋かな

ちんちろりんたうとう鳴かぬ夜がくる

風の日はひとかたまりの浮寝鳥

牡丹鍋大志も恋もなく食らふ

「もう一年生かせてやつて」初薬師

蜆汁病みてやさしくなりし夫

節分の豆が小躍り洗濯機

鬼の豆俳句狂ひの頭へ命中

球根を植う一発の核におびえ

春の雪むかし日の丸振りし駅

一声もなき号泣の涅槃絵図

ほうたるやつかねばならぬ嘘ひとつ

大江駅さはやか鬼のパンツ売る

地を打ちて投手号泣雲の峯

さらはるるやうに人逝き夏の果

天皇もわれも白髪敗戦日

玉音のわからずに泣き敗戦日

姿見に映りてわれは生身魂

チューリップわたしが八十なんて嘘

臍出して笛吹く菩薩春立ちぬ

死ぬことを忘れてをりぬ花吹雪

シャワー浴ぶ今日の私を消さんとて

身に入むや嬰の木乃伊に哺乳瓶

吉良の首美事落して初芝居

死ぬるまで生きねばならぬ夜を濯ぎ

指折つて俳句が出来て敬老日

とんばうや少年みんな征きしまま

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