《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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平畑静塔『句集 旅鶴』(遠星書館)より
2022.07.10
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昭和42年。
第2句集。
一本の鞭にて野火をただすなり
炭小屋に汚れて事を忘れる母
子の下宿さはれば物の強き凍
舟を漕ぐのけぞる方に花万朶
白障子までひとすぢに畝起す
花野より天に四足を駈けし犬
なき母の声あかぎれの割目から
少年の鞄ぎつしり雪の遅刻
裏で悴み曲馬団湯茶をのむ
抽斗を引けばかすかな涼気たつ
汗かきて大阪の母甘酸つぱ
一塔婆一死に増えてきりぎりす
遠吠や銀河に小窓一つあく