《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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橋本鶏二『鷹の胸』(牧羊社)より
2022.08.05
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昭和56。
「年輪」主宰。第9句集。
書の稜(かど)の鋭きを愛せり桜桃忌
秋空に手をあてて手を書にもどす
藁塚にのせればすべる旅鞄
短日や返しにゆきし貰ひ猫
鳥雲に個人タクシー顔を出す
プリマドンナ氷河のごとき毛衣を
古き世の剣立ててある壁炉かな
鷹匠の指さしこみし鷹の胸
人とほるたび稲架鴉羽を割る
氷にも雪にも僧はおどろかず
春愁や心の中に金の斧
玄冬の夜雨ハープの糸に似し