《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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鷲谷七菜子『句集 水韻』(ふらんす堂)より
2022.08.18
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1990年。
「南風」主宰。第5句集。
映し得ぬ身の内側や水澄みても
わが独語水に沈みて秋の蝉
極寒の瀧音ひびき土不踏
枯れきつて水の匂ひの芦となる
月光を得しより川の奔りそむ
影のごと人去りゆけり氷り瀧
川幅が余すひかりの猫柳
川ばかり踊りて木曽の月あかり
鯉の金しづめし水の冴ゆるかな
山棲みに光る水増え梅真白
田水張つて空のおもさの加はりぬ
消えてゆく波のあかるし法師蝉
今生の光におぼれ浮寝鳥