《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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藤本安騎生『句集 高見山』(角川書店)より
2022.09.26
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2009年。
「運河」同人。「晨」同人。第4句集。
雷と名を持つ滝の飛沫かな
ちよろくさきことは言ふまじ瀧氷柱
大旦昨日の山河なるがよし
向きを替へこゑを変へては囀れり
雑念の絶ゆることなし草を刈る
岩頭に立ち輝ける裸の子
自然薯を掘りたる穴を見て褒むる
継ぐ子息あり宇陀紙の天日干し
若水は渓より汲むを慣ひとす
椅子提げて漁港に来たる夕涼み
めでたくも岩戸を抛る神楽かな
とんとんと釘を打つ音年の暮
亡骸の妻と二タ夜の寒さかな
寒の土用の黄泉平坂転ぶなよ
客人に朴葉を持たせ鮎を焼く