《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 井上あや子『句集 紅梅』(ふらんす堂)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

井上あや子『句集 紅梅』(ふらんす堂)より

2022.10.22



2008年。
「狩」「天衣」同人。第1句集。

塾生の一塊となり初詣

案の定雨に崩れし牡丹かな

片蔭に貼りつくやうに人を待つ

炉話の芝居がかつてきたるかな

石庭の石の影のみある寒さ

雪吊りの八方へ気を弛めざる

嫁ぐ子と傘をひとつに春の宵

じつとしてゐず風好きの芥子坊主

雷神の音出し惜しみして去れり

門口に椅子持ち出して里祭

終の音をあげて榾火の崩れけり

尖りたる水を宥めて紙を漉く

無住寺の守りを固め軒氷柱

弥生来る茶うけに京の五色豆

分校のどの窓からも初桜

幹を撫でては叩きては桜守

花散るや水面息苦しきまでに

駆けるたび脱げる子の靴山笑ふ

薔薇の門ひとり暮らしと思はれず

衣替へて手足に風の集まれる

囚はれの身のしなやかに囮鮎

みな同じ宿浴衣着て舟の上

浜昼顔波崩れては立ち上がり

峰雲やガラスの広き操舵室

秋空に応へて海の真つたひら

雨あとの木の実しぐれや山の宿

おほかたは使はぬ農具ちちろ鳴く

綿虫やたつた一人の下校の子

紙を漉く手許に日ざし届かざる

山よりの風に押されて鴨の陣

かげろひて睨みの利かぬ鬼瓦

躓きし筍をまづ掘り出せり

砂浜に帰省の靴をめり込ませ

水澄みて音軽くなる水車かな

紅梅や門の中にも門ありて

日翳りて房重くなる八重桜

多佳子忌や崩るる薔薇を目のあたり

風止みて噴水の丈改まる

涼しさや釘を使はぬ丸天井

沙羅の花空の重さに散りにけり

風止みしときに音して落椿

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