《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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浅井陽子『句集 紅鏡』(角川書店)より
2022.11.06
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平成24。
「運河」「晨」「鳳」同人。第2句集。
清水の舞台の下の恋の猫
退職の一日目なる籐寝椅子
大和より河内へ月の峠かな
石庭の砂のさざなみ十三夜
鯖街道一の難所に鹿の声
子規没後百年の年惜しむかな
蜷の道途切れて蜷の見あたらず
自転車を渡船に卒業式の日も
弓始海女の魔除けを的に描き
風向きのころころ変る虚子忌かな
本校の児を招きたる虫送
風涼し智恵子生家の智恵子の間
ひろがらず響かず猪の猟銃音
野遊の果て湖に足浸す
風の的日の的となり仔馬跳ぶ
火の神に火を奉る夏神楽
鞍擦れのつきたる馬を冷やしけり
秋扇真砂女の筆の嫋々と
お遍路の日の出日の入り海に見て
満天の星に近づく帰省かな
一島が日だまりとなる袋掛
星座みな異国の神や星祭
まんまるはとどまる形芋の露