《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 右城暮石『句集 虻峠』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

右城暮石『句集 虻峠』(角川書店)より

2022.11.29



昭和55。
「運河」主宰。第3句集。

外燈の下に入り来て雪払ふ

雨待てり水の無き田を耕して

下界より見し白さなし雪渓は

深き雪犬踊り入り踊り出づ

天井に貯へゐたる牡丹雪

吾に向き向きを変へざる蟇

泳ぎ着き少年歩く大股に

蛇もまた人間嫌ひひた逃ぐる

柿山をのぼりて蜜柑山くだる

飛び翔てば全身黒き鴨となる

日本を船で離れて墓参り

風邪の子の部厚き絵本手放さず

鯨飼ふ太平洋の潮堰きて

坐して見る立ちて見る大涅槃図を

街路樹の瘤京都市の底冷えす

取り捨つる手にはつかざる草虱

眠る子を父抱き通す紅葉狩

玄関に一八活けて大書院

霧の裾めくれ美林の現るる

祖谷険し筍掘りに行く道も

掬ひ出す船の鰯の無尽蔵

伐りし松ふはりと落とす松手入

踏みつけて弾力ありし毒茸

ポケットの手を出せば鳰潜るなり

佇みていよいよ頑固顔となる

いつもこのここの桜の返り花

風花や失語の妻の眼が宙に

日向ぼこして居ることも忘れゐし

ストーブを消せと遺影に咎めらる

妻の遺品ならざるはなし春星も

遺影の手触れよこれこの蕗の薹

犬ふぐり女重なり合ひて見る

青芒ばかりの島にホテル建つ

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