《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 渡辺四日女『句集 一笛』(ふらんす堂)より

◎近畿一円、出張いたします。 一般書から学術書・専門書、現代から江戸(和本)まで。

Top >  日記 > 渡辺四日女『句集 一笛』(ふらんす堂)より

《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

渡辺四日女『句集 一笛』(ふらんす堂)より

2022.12.03



2007年。
「狩」同人。第2句集。

陶房のちらかる中の壺に梅

水たんと貰ひし雫つり忍

利かぬ気のおでこに一つ天瓜粉

えりぬきのものを手向けて今日の月

明けきらぬうちに空つぽ狩の宿

火事跡のホースをまたぎ立ち話

口伝へ叩き伝へて壬生の鉦

おもひきり水着を絞る海に向き

突張つてゐるをかしさよ帰省の子

看護婦をそはそはさせて焼芋屋

松籟のぴたりと止んで蹴鞠始

探梅やあへぎ登れば海ひらけ

目配りの鋭き歩み孕み鹿

おいそれと事成らずして桐一葉

どこまでがどの店のもの植木市

鯉の影散らして五十鈴川の澄み

雪丸く積んで礎石のありどころ

円空仏みたいな母と日向ぼこ

十和田路の郭公とつておきの声

秋蝶と思へぬ高さ北信濃

末席に先着がゐて年忘れ

励ましで終る回診お元日

耕して村のにほひを湧きたたす

抱きぐせがつくと叱られ初端午

母諭す齢となりぬ秋扇

福笹を買ふ曖昧な列につき

漢方の効き目の遅々と春隣

背の子の足でよろこぶ祭山車

み仏の半跏の足も花冷か

天辺に一礼をして山登る

盆の僧バックミラーに衿直し

新涼や音すべらせて帯を締め

向日葵の立ちはだかるといふ高さ

あたふたと遺句集を紙魚走り出づ

風が手を替へて蓮の露こぼす

赤とんぼむれゐて翅の触れあはず

永き日や親方も入れ憩ひの輪

障子貼る父がとやかく言はぬうち

徳利に菜の花挿して放哉忌

一尾とてもらさぬ構へ下り簗

コスモスの遊び心を束ね活け

綱引きのあとの尻もち天高し

髭づらに赤いエプロン苗木市

日記一覧へ戻る

【PR】  常滑市陶芸教室「光きゅうす」  ゆい美容室 川西加茂店  アーリーバード  和とSUN  おおほり小町整骨院