《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 | 日記 | 渡辺四日女『句集 若松』(狩俳句会)より

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《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記

渡辺四日女『句集 若松』(狩俳句会)より

2022.12.29



平成3。
「狩」同人。第1句集。

喪の涙かくす日傘を斜めにし

許されて術後に吸ひし青みかん

薬臭の看護婦薔薇を嗅ぎゐたり

米うまい近江にあまた捨案山子

鉄打つを見てゐて同じ汗流す

医学書の五臓六腑を日に曝す

藁塚に声かけてゆく老農婦

聖き夜を病む身ほとりの白づくめ

一の糸五の糸和して琴始

煮えそめし蓋の傾き大根焚

蜆汁すすめて病にはふれず

子が吹いて思はぬ高音菖蒲笛

丸刈りに角刈りにして寺さつき

桟橋に混む海の火蛾陸の火蛾

頬被りして藍染の手を抜かず

背負籠に魔法瓶入れ農始め

熱の子の毛布ぐるみを診てもらふ

囀りや思はぬ軽さ帽子箱

席とりのつもり扇を半開き

片ときもはさみはなさず蜜柑摘み

延命の寺でいただく田螺和

青岬杭一本の車止め

神官の沓ぬげさうに海開き

おしくらまんぢゆう先生が押し出され

引く蔓にすなほに引かれ烏瓜

涅槃図のくの字のの字に嘆く蛇

大仰に鍬振る神事種下し

大の字にはつぴを干して祭果つ

自動車の助手席を占め狩の犬

白息も手足も揃ひ太極拳

冬の菜を満載にして一輪車

雛の間にかかる表彰状の数

草餅や法要のあと膝くづし

早苗饗や納屋に鋤鍬もたれあひ

でこぼこの土間を汚して燕の巣

板道のほかに道なし水芭蕉

気やすめのつもりが効いて玉子酒

そぞろ寒義経堂は絵馬鎧ひ

頭陀袋外さぬ芭蕉像暑し

一連の一つが失せて吊し柿

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