《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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森節子『句集 稲の花』(東京四季出版)より
2023.03.06
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平成21。
「きりん」会員。第一句集。
夜なべする母の背中にもたれけり
花冷や賽銭箱と募金箱
グランドに熱砂残して試合果つ
熱の児に小さき氷片含ませて
囀やヒットの続く草野球
遠き日の足裏で探る蜆取り
秋まつり町会長は大名に
鉛筆の下絵の残る年賀状
白桔梗焼き印深き宿の下駄
残業の小さき窓の良夜かな
冬の虹拍手で終る草野球
高窓の小さき蔵や柿落葉
風邪の児に父の手作り紙芝居
去年今年小児病棟千羽鶴
葉牡丹の渦にのこりし今朝の雨
父の日やわれもの注意宅配便
薫風や大きく伸びるホームラン
雨蛙一生涯を名園に
児が揃ひ鋭角となる切り西瓜
小さき手握りかへして恵方道
本棚は少し弓なり卒業子
百日紅母はときどき宇宙人
声高に鰆高音や糶の果つ