《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 龍野龍『句集 雪つぶて』(文學の森)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

龍野龍『句集 雪つぶて』(文學の森)より

2023.04.01



令和2。
「浮野」編集長。第2句集。

雪降つてもののかたちを露はにす

手のひらに猫の子の腹立ててをり

校庭の面の広がり雷兆す

白木蓮や比叡を雨の上がりゆく

おほかたは水の重みの金魚買ふ

外套の重きを吊す父の部屋

押し詰めて落葉の袋あたたかし

雲の峰子の背景はいつも海

白といふ未来の色や初日記

千年の意気も新たに初ざくら

喝采を浴びてなほ散る桜かな

秋の蚊の畳を低く飛び来たる

一族の真ん中に立つ千歳飴

その奥の海の匂ひや大氷柱

針金の錆びたる木戸や花馬酔木

賞状のごとくに早苗運びくる

指先のときどき醒むる昼寝の児

一枚の空を映して水の秋

指先の冷たさ妻とくらべ合ふ

花冷や切り取るための点の列

母に呼ばれて父の日に集まりぬ

見送りて後のふた月山滴る

街ぢゆうの烏残して鳥帰る

並び立つ美大音大若葉風

目も口も穴の土偶や青あらし

こころして身を炎天へ送りだす

山打つて音立ち上ぐる瀑布かな

雲晴れていよいよ月下美人の夜

仰向けに置かるる眼鏡熱帯夜

真つ直ぐを見据ゑて涼し巫女の舞

かなかなやさびしがらせるつもりなく

一線の海にのる空雪催

もう席を立たぬつもりに着ぶくれて

かまくらや少女の丈になつて入る

数センチ上をゆく風犬ふぐり

まづはその汗を拭かれよ休まれよ

少年の頃へどんぐり蹴とばして

身に入むや古き仏のほそ面

何にでも行列できて文化の日

マスクして己に蓋をするごとし

親も子もしつかり老いて子供の日

薔薇の名のどれも忘れて帰りたる

中心に重心かさねハンモック

雨を来て土間に重たき登山靴

新生児ずらりと並べ秋気澄む

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