《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | やなせみわ『句集 南国』(狩俳句会)より

◎近畿一円、出張いたします。 一般書から学術書・専門書、現代から江戸(和本)まで。

Top >  日記 > やなせみわ『句集 南国』(狩俳句会)より

《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

やなせみわ『句集 南国』(狩俳句会)より

2023.05.28



平成6。
「氷海」「狩」同人。第1句集。

凍蝶となるべく翅を畳みけり

天国の亡弟が凧ひつぱるよ

どんぐりの行方は知れず石畳

照りもみぢ水中からも照り返す

しばらくは亡き母とゐて日向ぼこ

曲るべきところは曲り恵方道

石段をゆつくり下りて梅日和

亡き母の高さまでゆけ揚雲雀

初鰹跳ねて秤のしづまらず

竹皮を脱ぎ散らかして父のごと

仰ぎゐし雲海をけふ見下せり

外套の襟を味方として歩く

青き踏みいつしか拳解けゐたり

滴りにてのひら二つ窪ませて

雨あしに叩き出されて蟇

墓掘りの背中・首すぢ蝉しぐれ

ポケットの小銭の弾む走り初め

大声で用事を告げに蜜柑山

照紅葉そのうち狂ふかも知れぬ

堰までは水にしたがひ水馬

母の忌の宵の口から星の飛び

一世とは一夜のことか火取虫

新緑の空の明るきままに雨

広島の駅の水のむ原爆忌

買ひもせぬ客に叩かれ大西瓜

十二月八日いつもの鶏の声

自転車を連ねて夜学より帰る

月を待つ一休河川敷に降り

もの言はぬ父に含ませ氷水

青しぐれ伊豆の踊り子には逢へず

箸・茶碗置きて黙祷原爆忌

日記一覧へ戻る

【PR】  POW STUDIO  DanayMommy(ダニーマミー)  ベイビーカノン  リフレッシュ ふぅ  食器のウイッツ