《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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山口超心鬼『句集 遠天』(牧羊社)より
2023.06.20
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平成1。
「天狼」同人。第2句集。
遠天に峰雲菩薩立ち給ふ
終に揃はず酔漢の踊の手
栗飯の栗は龍神村のもの
密教の山断崖に藤の房
試し打つ祭太鼓の皮の張り
櫓より降りて踊の輪に入れり
雲板を強打一山蝉時雨
病床に居ずまひ正し年の礼
躍る輪の吾に蹤きくる吾が患者
葉牡丹の渦に飛込む玉霰
湧きつづく霊山の霧無尽蔵
月読の光が照らす初詣
大根を診察室に置いてゆく
国生みの島に棚引く初霞
上人の籠りし窟の岩の冷え