《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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山口誓子『句集 方位』(春秋社)より
2023.07.22
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昭和42
「天狼」主宰 第12句集 田植衆憩ひて飲みも食ひもせず
胸を背に寄せて雪嶺重なりあふ
架橋行く眼にもとまらぬ雪解川
農夫独り何に手を拍つ春の晝
秋晴を禿山たるに終始する
一枚を念ずるごとく紙梳けり
吾が真似て漉きたる紙は紙ならず
冬山にピッケル突きて抜きしあと
寒雲の擦過してゆく吾が頭上
スクラムを組む肩と肩音立てて
二分一分ラグビーの終末の
激流に棹一本の和布刈舟
光背として自転車に水搬ぶ
盤石の雲ラグビーの始まる頃
萬燈の全燈の下水流る
萬燈の列の中途に立ちどまる
紙漉場何の数字の正正正