《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 苑実耶『句集 大河』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

苑実耶『句集 大河』(角川書店)より

2023.08.23



平成23
「空」同人
第1句集

真剣のきつ先に立つ博多独楽

左義長の振舞ひ酒に煤浮けり

次の世も隣に居たし螢狩

我が影も灼けて円形闘技場

日傘くるくるいつまでも待つつもり

人妻であるを忘るる花野かな

石仏につづく石段椿落つ

病む父の窓に桜の押し寄せし

汗の子を身ぐるみ剥がす勝手口

夫の声聞いてはをらぬ茄子を焼く

うねりては声凄じき稲雀

案山子のみ傾いてをり刈り了へて

百の燭大きく揺れて御開帳

灯の点るころに家路や日焼の子

餅つきに一人暮しの人誘ふ

硝子戸に祭稽古の影動く

根の国の父と交はせり月見酒

母逝きぬ春著のしつけそのままに

子の恋は見守るばかり沈丁花

母と居て父の思ひ出冬日向

梟や恋に狂ひし夜もあり

子の服はみな大きめに入学す

二月尽寄り添ふのみの看取りかな

泣けば済むさうはいかない葱坊主

父ははの名を一字づつ藤は実に

跳ねる跳ねる兎に生まれうれしくて

最期まで母は惚けず青木の実

あれは蛇かすかに動くやはり蛇

帰省子の足裏重ぬる仏間かな

口開けて子の眠りをり終戦日

病院の廊下に並ぶ聖夜劇

泣き出す子這ふ子眠る子四方の春

交はりて大河となれり春の水

囀や赤子何でも口に入れ

暮るるまで迎へ来るまで野に遊ぶ

夏雲の湧き継いでゐる鬼瓦

預かりし子に泣かれゐる日の盛り

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