《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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橋場千舟『句集 視線」(ふらんす堂)より
2023.09.11
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2008年
「半夜」同人 「船団の会」会員
第3句集
名月をオペラグラスで眺めけり
ものの芽がまだ何色といふでなく
ひとつ傘さす冷ゆること言ひ合うて
河豚雑炊ふぐの口して吹いてをり
まばたきをして白梅に近づきぬ
磯巾着夢の中まで闖入す
飛花落花見し夜の深き眠りかな
逢うてすぐさくら見に行きたいと言ふ
買うて来て冬瓜二日目もごろり
寒風に顔を小さくして帰る
血の通ふほどに御室のさくら満つ
鮟鱇や言へば言ひ返されさうな
芦の穂の高さに物を考へる
金婚やなにするでなく日向ぼこ
初夢の宙返りする森光子
春立つと耳をしづかにしてをりぬ
突堤に朱夏繋がれてゐるやうに
栗を食ぶ佛のやうな顔をして
叱られぬやうゆつくりと墓洗ふ
くるくるとフォークにパスタ文化の日