《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
-
こしのゆみこ『句集 コイツァンの猫』(ふらんす堂)より
2023.09.13
-
2009年
「海程」同人 「豆の木」代表
第1句集
藤棚の下に自転車ごと入る
よびすての少年と行く夏岬
背番号のよじれておりぬ昼寝かな
昼寝する父に睫毛のありにけり
ころりころりこどもでてくる夏布団
青林檎放物線の途中に掌
後退る背泳かなしい手を上げる
家族ならビーチパラソル支えなさい
時々は立ち泳ぎして家族待つ
帰省して母の草履でゆく海辺
夏座敷父はともだちがいない
昼寝する君の背中に昼寝する
永遠に汽車は来ないひなたぼこ
そわそわ空うごきはじめてぼたん雪
麦踏の南にむかうときは海
初蝶が自転車よろけさせている
話しやすい一本のあり楠新樹
春雨にいちばん近い席に着く