《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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豊田都峰『句集 木の唄』(東京四季出版)より
2023.12.18
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平成14
「京鹿子」主宰
第4句集
雲とまた喋りはじめて四月の木
あまりにも度忘れ黄葉をのけてみる
点滴に春の雲溶けおりてくる
人きらふこと花冷にかこつけて
穴まどひそらのあをさにふと曳かれ
ひとすみに余花あるそんな宇治の昼
ひとすぢの草ひとすぢの糸とんぼ
白日傘入れてはじまる森の午後
さくらんぼグラスに沈め晩婚論
ただならぬ目つきは瀧を見しゆゑか
うららかな野のまん中の途中下車
いなづまや百鬼のをどる草の上
コスモスはただいま多重放送中
雲ひとつあそびつかれて山眠る