《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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飯田龍太『句集 山の木』(立風書房)より
2024.01.09
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昭和50
「雲母」主宰
第6句集
冬深し手に乗る禽の夢を見て
茶の花の映りて水の澄む日かな
凍雪を踏みてこころの花模様
子燕が育つ雲雀の声のなか
花びらを重ねて寒の菊にほふ
かたつむり甲斐も信濃も雨のなか
鱒池の隅に手毬の浮く暮春
山々に闇充満し夏に入る
あるときはおたまじやくしが雲の中
涼しさに鳥が深山の声を出す
偽りのなき香を放ち山の百合
蛇笏忌の杉が屈託なく高し
茶畑の空はるかより鰤起し
破魔矢ゆきあとまたねむるなまこ壁
祖父の世の木臼おほ寒小寒来る