《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 | 日記 | 阪脇文雄『句集 鉤引』(文學の森)より

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《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記

阪脇文雄『句集 鉤引』(文學の森)より

2024.01.15



平成17
「運河」「三重俳句」同人
第2句集

厚さ増す妻のカルテや春寒し

耕せり枯野の端を捲るごと

山国に暮らせば寡黙冬木立

涅槃図の嘆きの外にゐて嘆く

蟋蟀の黒目に見つめられゐたる

訃を知らす硬貨の冷えをにぎりしめ

伏して嘆く仰ぎて嘆く涅槃絵図

釈迦像を残し剥落涅槃絵図

川瘦せて鮎も終りのころなりぬ

母死にて寒夜どやどや人が来る

放流の稚鮎川鵜がすぐ現れ

鵙猛るために高きに止まりけり

十月の蝉鳴く石垣島に来し

手の少し届かぬところ玉虫飛ぶ

電柱に腸抜きし猪吊れり

春泥の県営畜産試験場

空蝉の摑める墓を洗ひけり

ためらひてゐしが踊の輪に入る

一本杉まはりの稲のよく稔る

猫車死にし狸を乗せゐたり

梅林の道外からは見えざるよ

花大根僧つやややかに老いにけり

増水に休む鵜舟の所在なく

源流は神の滝なり鱒を飼ふ

わが丈を越す自然薯の掘り穴よ

山苺口に含みて木を伐りに

鮎落す水となりたる朝かな

月の夜の琴横抱きに漢来る

鹿の声夜更けにも聴く朝も聴く

村の峰々に日の差す初景色

餅一つ供ふ深雪の山祠

奈良よりの水取の冷え伝はり来

釣大全読みゐて梅雨に籠りけり

竜神と呼びゐる細き峡の滝

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