《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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橋本多佳子『句集 信濃』(臼井書房)より
2024.02.15
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昭和22
第2句集
野の藤はひくきより垂り吾に垂る
春月の明るさをいひ且つともす
硯洗ふ墨あをあをと流れけり
濤うちし音返りゆく障子かな
朝刊に日いつぱいや蜂あゆむ
冬の月明るきがまま門(と)を閉ざす
洋子生る
天の川今瀧なせり産聲を
着きてすぐわかれの言葉露の夜
春潮に指をぬらして人弔ふ
ひと日臥し卯の花腐し美しや
生々と切株にほふ雲の峰
芦の笛吹きあひて音を異にする
七夕や髪ぬれしまま人に逢ふ
うちそとに月の萩むら門を鎖す
狐花わが前に咲き沼に咲き
山口波津女夫人に
夕焼中ともにをみなの髪そまり