《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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柴田奈美『句集 黒き帆』(ふらんす堂)より
2024.04.02
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2007年
「銀化」「天弓」同人
第2句集
妬心とはこの色鶏頭かたまつて
マフラーを解けば粉雪部屋に舞ふ
男除けの盾にはあらず白日傘
神々の戦稲妻二打三打
風鈴の舌に乾きし風当たる
蜩や静かにその人を赦す
白息の続く限りを弁解す
この恋はなかつたことに冬椿
踊らされてゐただけのこと藍浴衣
つけ睫ほどの重さや春愁
風鈴を吊るす男を踏み台に
待たされてゐしこと忘れ日向ぼこ
炬燵より三途の川を渡りけり
玉葱を刻み続けてゆくも愛
放蕩の果てや金魚と四畳半
打てといふサインサングラスを外す
蝉時雨この静けさの中に佇つ