《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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あべみゑこ『句集 寒咲きあやめ』(本阿弥書店)より
2024.04.03
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2017年
「松の花」同人
第2句集
どうやら無月ステーキの匂ひ来る
立冬の五感すべての尖りかな
ベートーベンのやうな二月の青鷺よ
夏雲やスペインの土真つ赤赤
少年の臍美しく泳ぎ出す
ねぎ坊主個性を出せと言はれても
篝火のこぼれて鵜飼始まりぬ
山羊の髭色なき風を振り分けて
手も足も胸に畳みて果てし蝉
鰯雲ハーレーダビッドソン発車
頷かぬ子にねこじやらしねこじやらし
夏帽子けふも元気で悪妻で
青柿やへりくつ増ゆる二年生
子白鳥まだ折り曲げる首持たず
遠き日やラムネの瓶のみどり色
かなかなの止みてよりすぐ山雨かな
リフト来る靴先で蹴る夏の山
たちまちに園児集まる木の実かな