《古書・古本の出張買取》 京都・全適堂 の日記
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菊地寿美子『句集 朴の花』(角川書店)より
2024.04.18
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2017年
「未来図」同人
第3句集
夕ぐれの匂ひたぐれば朴の花
紫陽花やピカソに靑の時代あり
初蝉の逢魔が時を試し鳴く
海の日の煮魚のまなこ取り落とす
学徒吾が十五の日記曝しけり
一つ陽を享け白芙蓉紅芙蓉
ふるさとの木々は素直に雪被る
朝三分夕べに五分の桜かな
万緑や明日香の里の石のこゑ
群にゐて独りたのしむ浮寝鳥
冬たんぽぽ地に貼りつきて全開す
寒泳ぎ古式は水と争はず
白魚の踊り食ひしてわが身透く
芽吹かむと艶めく幹の力瘤
空つぽの手水鉢ある暑さかな
晩年の身の透きとほる石蕗の花
もの問へば笑顔に変はる紙漉女
カーナビの聞取りがたき終戦日
寒苦鳥一と声なりと鳴いてみよ