《古書・古本の出張買取》 奈良・全適堂 の日記
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岡田万壽美『句集 夢のごとしと』(角川書店)より
2024.04.26
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平成20
「雲の峰」同人 「春耕」会員
第1句集
太箸の我が名ゆたかに義父の文字
深炒りの珈琲香る久女の忌
とりあへず折れたるそぶり冷奴
まつさきに西瓜畑へ母者癒ゆ
七夕や一の願ひはてつぺんに
ラジオ消し波の音聞く秋はじめ
対岸の墓地を動かぬ秋日傘
無口なる夫と月と白ワイン
高原のミルクの色の霧まとふ
続投に沸くスタンドや雲の峰
三脚の春泥拭ひ旅を終ふ
切りしこと気付かぬあいつ髪洗ふ
宿したる身を外套に包み来る
春灯を扇に受くる阿国像
息をせぬ犬の毛を梳く霜の朝
揺り椅子を揺らさずに聞く虎落笛
浮舟の寺に真紅の狂ひ花
ワシコフの柘榴を探す北野坂