《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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平栗瑞枝『句集 花蘇芳』(ウエップ)より
2024.05.20
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2010年
「渚の會」会員
第1句集
ふるさとの匂ひと似たる夏野かな
汗の手を握る集中治療室
四五日を手抜きしてをり夜の秋
夜廻りをせむとて酒の席を立つ
きつと来てくれる寒紅ひいてみる
相続のひとつは蝮多き森
軍艦のやうな子の靴休暇果つ
舞ひ終へてなほ神の所作里神楽
囀りや船長自転車で帰る
フラスコに逆さのわたし春深む
花火師の背中もつとも昏かりき
大西日ヘッドフォンよりジャズ洩れて
流氷の重なり合あへる昏さかな
おほかたは女遺さる梅の花
玻璃越しに光の束や卒業す
クリスマスキャロルガラスノエレベーター
秋ともし尻尾はみだすおもちや箱
紙切つて聖樹に銀の雪ふやす
雑炊を吹く風神の顔をして