《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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有山八洲彦『句集 朱雀』(狩俳句会)より
2024.06.12
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平成7
「狩」同人・「朱雀」主宰
第2句集
駅裏の残雪といふ頑固もの
天井に闇押し上げて炉辺話
初夢を見しとも見ざりしとも思ふ
裾つまみ上げ春泥を神父来る
せがまれてまた抱き上げて青き踏む
伊予柑の尻に敷かれて置き手紙
ワイングラス鳴かせて磨く夏至の夜
言ひにくきことをさらりと生身魂
女郎花駅桔梗駅縄電車
自らを尾で励まして登山馬
子の声の途絶えて釣瓶落しかな
古都奈良の神も仏もなき寒さ
春燈引き寄せアガサクリスティ
草矢打つ少年に川横たはり
椅子提げて樹下に集まる夏期講座
金箔を海に広げて月昇る
天帝に見えぬ目を向け鵙の贄
パン屑を鳩と分け合ひ神の鹿
わが影へ発止と降ろす鍬始め
にぎやかに水が押し合ひ春の川
笛を吹く仕草そのまま雛納め
父のせしごとく軋ませ籐寝椅子
焚火の輪一人サッカーボール抱き