《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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水野晴嵐『句集 大津絵』(ふらんす堂)より
2024.07.09
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2001年
「狩」同人
第1句集
枯菊を焚けば菊の香よみがへり
歓声のあとの嘆声揚花火
来客に空より応へ松手入れ
掃初めの塵にまぎれてはづれくじ
川床料理眺めてしばし箸つけず
前足をきつちり揃へ狩の犬
石と貝机上にならべ夏休み
手袋のごみ手袋を脱ぎて取る
耳寄りな話も尽きて日向ぼこ
麦秋や名付け事典に栞して
大夕焼引き返すなら今のうち
鴉うるさいぞ勤労感謝の日
闇汁のするりと箸を逃げしもの
寝不足のまま元旦の顔となる
鯛焼のあつあつ手から手へ渡す
子の眠るときも回りて風車
飯粒を甘しと思ひ終戦日
先生をみんなで叩き雪払ふ
自転車を並べて寝かせ青き踏む
ことごとく道ふさがれて祭かな
切株の椅子黄落のカーペット
吊れるだけ軒に吊して風鈴屋
通るたびこぼれて減らず萩の花