《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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柳堀悦子『句集 鼓動』(邑書林)より
2024.07.23
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2023年
「晨」同人 「汀」会員 里人
第1句集
探梅の朽ちし祠にゆきあたる
決めかねて仰ぎてゐたる夕焼かな
夕焼を拡げゆきけり豆腐売
思ひ出に身をしづめゐる柚子湯かな
大空のがらんと碧し山眠る
母を待つ窓にたつぷり春夕焼
日は天に那智の大滝轟けり
山のこゑ風の声聞き薬喰
青梅雨のあした産声あがりけり
のどけしや雲の近づく観覧車
母の日や百歳まではあと九年
喪塩ふり味の濃くなる新豆腐
はたた神そろそろ母のもどる刻
寒肥の湯気もろともに猫車
深く吸ふ海の匂ひや夏はじめ