《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 | 日記 | 滝口明男『句集 小事』(花神社)より

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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

滝口明男『句集 小事』(花神社)より

2024.08.22



1999年
「狩」同人
第1句集

水着着てエバの隠せしもの隠す

枯れてなほ向日葵太き茎で立つ

一点となりたる凧の糸を持つ

懐手凶のみくじを握りしめ

角出して進路定まるかたつむり

夏痩せの母空箱を捨て惜しむ

木枯の大手搦手城を攻め

咳き込みて打ちあけられぬ胸のうち

ままならぬてにをはクリスマス・カード

水澄んでゐて底見えず山泉

汗拭ふ広き額は母ゆづり

言へばきりなきは言はずに毛糸編む

緑蔭に石工働き且つ憩ふ

箱庭に橋のかからぬ川ひとつ

西鶴忌老いて色欲衰へず

とりかへしつかぬかたちに石榴裂け

聖樹より星が落ちたり音立てて

向日葵の我慢くらべのごとく立つ

一途なる金魚の恋を硝子越し

風鈴が鳴る人ひとり通るたび

ひと癖もふた癖もあり木の葉髪

何時まで待たすつもりか炭をつぐ

炎天のワンバウンドして始球式

睡蓮の眠気ざましの通り雨

予約席以外満席ビアガーデン

寒の入り背筋伸せば骨が鳴り

わが影と枯木の影と同じ色

風鈴を吊れども風の通らざる

ポケットに木の実一個の忘れもの

商戦の尖兵として聖樹立つ

団地てふ新しき村夏祭

航跡のどこにもあらず宝船

地球儀の北極圏に春の蝿

クレーンの大儀な動き雪催

食ひ意地が命支へて油照り

蝋涙のかたち醜きクリスマス

女教師の声よく通る休暇明け

付録欲しくて雑誌買ふ十二月

躓いて土にお手つき三鬼の忌

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