《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
-
石田雨月『句集 諸葛菜』(俳句アトラス)より
2024.09.03
-
令和3
「ひまわり」幹部同人
第1句集
子の熱の下がればおとす秋ともし
怪獣のおもちゃはべらせ大昼寝
いとおしむおのが命を去年今年
子と枕ならべて虫の夜なりけり
刈り残す塔のほとりの花すすき
柔道着無口にたたみ夏終る
仏具屋の角より奈良のしぐれかな
初明り太郎次郎を起こすべし
雪つぶて投げて真実にくからず
冬菊の切口匂う忌日かな
春雪をはらいて母を預け来し
母の日の母よ無心に歌うたう
一もとの庭の落花を母と浴ぶ
この夏も越えよと母に水飲ます
垂乳根の母素裸にしばしおく
かかさまのくがねのうんこ秋うらら
母と踏む十歩余りの庭落葉
母の手をにぎればぬくき寒燈
骨壺をつつむ裂選る花の雨
鼓打って男老いゆく冬の月