《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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田代青山『句集 油差』(星だより出版)より
2024.10.22
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平成23
第2句集
「梟」同人 「星だより」主宰
遁走の百足非非非非非非非非非
かき氷崩れて言はんこつちやない
コロッケのペチャクチャ揚がる秋の暮
人といふ肉管楽器しはぶけり
マスクして指名手配書見てをりぬ
給油されストーブは喉鳴らしたる
梟の取替へのききさうな首
聖菓切る層にイチゴ紀クリーム紀
春愁のひつつきあへる焼餃子
うるみ目のひとを妻とし春の月
春灯を薄切りしたるブラインド
鉄砲百合鉄砲百合を狙ひをり
舟虫に対人恐怖症連鎖
キャベツ断面弱の字のひしめける
廊舐めて廊の艶なる油虫
小さき露大きな露にのまれけり
蟋蟀の孔子顔してゐたりけり
髭剃りの肘の鋭角冬に入る
風呂吹や舌がれろれろ逃げ回る
冬籠鍵穴ヒトのかたちして
首だけでラジオ体操春炬燵
春風に両手泳がせ一輪車
馬の尾のしんと垂れたる朝曇
さうかもうもらつた桃は食べたのか
ふらここに乗つたる雲のやうな尻
蟻穴を出でて二次元さまよへる
バンザイのままで守宮の落ちにけり
あつぱつぱの書きくれし地図大雑把
青岬風の三百六十度
東京の悪口言ふは鱧食ふは
綿菓子を片手に金魚すくひの子