《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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杉浦典子『化石の魚』(四季出版)より
2024.11.14
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「火星」同人
第1句集
皆寄りてゐるに語らぬ父寒し
朝顔をいつも裏より見る茶の間
月の藁塚人去りし後発光す
稲妻に髪濡らしきて反抗期
光るもの得て川に啼く寒鴉
子が乗れば馬となる石草青む
燕の子パン屋の軒を翔つ日来て
冷まじや空井戸に音落ちゆきて
神の火に頬あたたかき初詣
弁当箱三つ並べて九月来る
銀河よりひらと零れて埴輪の目
蓼の花どこかで水の音迅し
眦で笑む風花の伎楽面
父の忌のもはや明るし冬たんぽぽ
神官の木履に乾く春の泥
八月や産科の廊に光満ち
バスを待つ楽団員に銀杏散る