《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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矢野景一『句集 圭復』(文學の森)より
2024.11.15
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令和6
「海棠」主宰
第5句集
おさげ髪ぎゆつと土筆の束にぎる
死に下手になりたるわれらほととぎす
湖西線一日にして刈田の変
踏みつけて杖でひろげて栗の毬
風もまた紀の国の幸柿を干す
春の昼つの字への字に猫屈伸
浮いてこい油断のならぬ世なれど
神が指たてて割れたる山姫(あけび)かな
師走のレジ足のマークに立ち並び
あぢさいや傘のぶつかり合へる寺
毎日の嗽ひ手洗ひ胡瓜揉み
眼福の紅葉耳福の尉鶲
七五三背中をあふれさうに帯
ひとり読む賀状夫婦で読む賀状
からだに水足してまた寝るおぼろかな
向日葵や戦争はやく死語となれ
夏草の祖父日露父太平洋
秋惜しむにあらずよ君を惜しむなり
乗り継ぎをしてゆく古都の冬紅葉
日記買ふ妻百歳の計立てて
討死の吾が句いたはし初句会
宇治
川渡るこゑおうおうと朝桜
比良走り伊吹は坐る稲つるび
舟に乗るたこ焼十個天の川
かくれんぼの寄りかかる藁塚ぬくかりき
こふと咳くかたち白鳥首まげて