《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 | 日記 | 伊藤由紀子『句集 天女の湖』(角川書店)より

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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

伊藤由紀子『句集 天女の湖』(角川書店)より

2024.12.02



平成21
「風」「雉」同人
第1句集

天守よりガラスのビルへ初燕

仔羊の重なり眠る星月夜

若草へ桜色なる牛の舌

白魚の透きて黒き目ふたつづつ

短夜や靴音高きフラメンコ

星涼し被爆の父と橋の上

名月や糺の森を水の音

春雷やゴブラン織の一角獣

花市にイースターの鐘高鳴れり

うつすらと切子の曇る桜桃忌

土深く日の温みあり甘藷掘る

着ぶくれて被爆の川を見てゐたり

永き日のロザリオの影大いなる

万愚節三面鏡に顔三つ

めかり時どつかと河馬の横たはる

病む母の朝顔の裏見てをりぬ

サーカスの楽高らかに黄落す

鉛筆の芯よく折るる霜夜かな

小魚が小石動かし春来たる

山桜けむりのごとく咲きのぼる

ちりちりと音のしさうな炎暑かな

原爆忌ずぶぬれの犬戻り来し

時差惚けの夫へ緑茶と能登柚餅子

洗礼の赤子の眠り雪明り

短日の雀あつまるマリア像

鬼の面脱げば白息あふれたり

献体へ湾いつぱいの夕焼かな

木の橋の木の香ひろがり若葉雨

赤んぼに白き歯ふたつ半夏生

花蜜柑島の少女と船を待つ

石垣に落葉掃きよせ文学館

福笹の小判に髪をなでらるる

鉄棒の臭ふてのひら日焼の子

雷鳴や輪郭黒きルオーの絵

芋の葉のからから乾く厄日かな

夏の海老人ひとり櫂削る

地球儀の海の青さや終戦日

凍滝のひとすぢ光る青さかな

囀の上にさへづり雑木山

鞍はづし馬の汗拭く少女かな

仔羊と仔山羊鳴き合ひ山笑ふ

狛犬に立てかけてあり補虫網

山伏の掻き分けてゆく茂かな

一字づつ絵本読む子や小鳥来る

大仏の一重瞼の煤払ひ

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