《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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春田珊瑚『句集 驢馬の背に』(樹花舎)より
2024.12.14
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平成22
「田」会員
第1句集
秋ひとり裸婦が見つめる美術館
染抜きの「どぜう」ののれん春の宵
川音の近づいてくる昼寝覚
母の日の電話の母の声若し
停泊の船よりクリスマスソング
絨毯を織るジプシーの日焼けの手
炎天や驢馬の背に積む麻袋
コーランの声に目覚めて涼新た
噴水やニンフの胸の高さまで
梅雨深し格子の狭き廓あと
一族に日傘の嫁の加はりぬ
色変へぬ松と並びし母を撮る
小春日の道に椅子出す床屋かな
生ハムに灯の透けてゐる秋思かな
木の実降る恋をしさうな胸元に
田に山に我に初雪降りそそぐ
夢で逢ふひと優しかり春の風邪