《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 | 日記 | 村越化石『自選句集 籠枕』(文學の森)より

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《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記

村越化石『自選句集 籠枕』(文學の森)より

2024.12.18



平成25
「濱」同人

除夜の湯に肌触れ合へり生くるべし

陽炎やふくらみもちて封書来る

葱抱へ土ともならで癩の身生く

鍋の耳しづかに山の夜長来る

望郷の柿食ふ口中まで入日

ホーと木菟雪国の土匂ひ出づ

母なき川曼珠沙華なと流れ来よ

山路来れば蜥蜴神代のさまに遊ぶ

信仰の燭を無月の燭となす

護符のごと目貼を冬の果つるまで

秋の暮何にふりむきしか知らず

きりぎりすわが庭の端は山の端

露けさの和讃一節聞きて辞す

雪に十歩遠きへ出でてゐるごとし

切株を仲間のごとく日向ぼこ

この家に桜一樹と蔵書やや

花茣蓙に病と遊ぶ思ひあり

毛布被て星の一つに寝るとせり

竹は立ち仏は坐して夏に入る

師との間水のごとしよ夕端居

村ありぬ山の眠りをさまたげず

誰彼の肩に降誕祭の雪

石現はれ土現はれて雨水かな

一本のこの杖と居る秋思かな

青き踏み行きて雲にも乗りたしや

涼み石鳥の止まれば鳥のもの

杖立に一本の杖去年今年

とつぷり暮れたつぷりけんちん汁盛らる

待春や湯呑一つを前にして

鉄風鈴いままで睡りいま覚むる

先々のことはかにかく障子貼る

見えぬ眼のまなぞこにまで雪解光

みな遠き故郷持ちて粽食ふ

一杖を預け涼しき坊泊り

正座して心水澄む方へ行く

梟に夢を託して眠る森

客来れば客間となりて暖かし

遠花火戸口に杖と立つて居り

鏡なす句碑に木の葉の飛び来り

落葉籠飛び立つ落葉降る落葉

秋澄むや杖の先から峠まで

顔出せば雪が飛びつくここ栖処

来客に氷柱の丈を見てもらふ

右の山左の山と笑ひ合ふ

世の隅に療養祭といふ祭

団扇もて呼び戻したき記憶あり

日焼の児歌ふ校歌に山河あり

昼は虹夜は蛍火水車小屋

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