《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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宮平知三『句集 大和三山』(文學の森)より
2024.12.19
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平成28
「風」会員 「山繭」同人
第1句集
手の出せぬ蜂の巣サッカーボール程
啓蟄の地を測量のメジャー這ふ
これよりは柳生街道山眠る
飛鳥寺昼を灯して梅雨に入る
草いきれ石舞台への分かれ道
原爆忌仰臥して聴くボレロかな
とんど灰浮けるふるまひ酒酌めり
九体の弥陀きき給ふ初音かな
丹波栗子等に剝く手の追ひつかず
花の雨阿騎の大野をけぶらせり
京言葉涼し貴船の里娘
傘の柄でたぐり寄せたる烏瓜
星すずし酌んで交はせる宇宙論
団栗の加速度つけて落ちにけり
都鳥湖に浮く群渡る群
鴟尾空に残して釣瓶落しかな
鹿の来て見つむる火の粉お水取
鳥雲に夕日をまとふ塔二つ
秋冷の大和三山相寄らず
福笹をはづれし小判拾ひけり
山焼の香をまとひ来る消防士
あめんぼう空の青さに跳ねにけり
白息を集めてしばし赤信号
明易や遠き戦のゆめに覚め
遠花火大和三山あらはるる
コーラスの窓にコスモス揺れやまず
甲羅干す亀に水鳥かかはらず
コーラスのソロよく透る良夜かな
千年の樟若葉濃し能舞台