《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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金子兜太『句集 百年』(朔出版)より
2025.01.14
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2019年
「海程」主宰
第15句集
地を叩くよう鴉鳴く夏だ
一二の灯やがて無数の寒灯し
声美し旅の隣の姫始め
水鳥に石放うらんとして耐える
春の駅一人の声が馬鹿でかい
人間が集まり植樹はじめたる
ふらここが亡妻(つま)の向こうで揺れている
裸身の妻の局部まで画き戦死せり
立待や自然死なら何時でも宜し
青年に職なし老人ごまめ嚙む
燕帰る人は被爆のふるさと去る
検査入院名月が待つているとは
父も母も妻も秩父の春の土
死と言わず他界と言いて初霞
戦さあるな人喰い鮫の宴あるな
雪の夜を平和一途の妻抱きいし
冬日向歩けばよいのに歩かない