《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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きくちきみえ『句集 港の鴉』(ウエップ)より
2025.01.31
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2015年
「やぶれ傘」会員
第1句集
スチールの机西日に吞み込まれ
踝のカクカク動く浴衣の娘
文化の日踵のつかぬ椅子にをり
自づから崩るることもかき氷
秋空の高みへ落ちてゆく心地
辣韭をこんなに漬けてひとりとは
去年今年同じ顔してゐたりけり
蟷螂の構へは風に揺れやすし
磔の形(なり)となりたる夜の案山子
台風一過納豆混ぜてをりにけり
柿を捥ぐ柿の高さに空を見て
湯たんぽの人肌となる時刻かな
もちかへて風あらたまる団扇かな
夕焼けの雲夕焼けのガスタンク
空箱にしまふ空箱秋深し
縁側の日向に猫と干し芋と
法師蝉鳴くわ赤子の泣き出すわ
おでん屋は駅の北口抜けてすぐ
藻の花の流れに添うて流されず
新聞を斜めに菊を包みけり
乾びたる蚯蚓に潮の匂ひかな
秋天に爪先がある逆上がり
ウインナーはタコに雀は蛤に
石の音させて取り出す焼き芋屋
お降りを隔てて人とすれ違ふ
ペンギンに泳ぐ羽あり風光る