《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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パラゴンとオートグラフを聴く
2012.04.07
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近くにモデルハウスがあり、そこでスピーカー、JBLのパラゴンとタンノイのオートグラフの聴き比べができるというので行ってきた。
某工務店の社長がオーディオ好きだという。
実は新聞のチラシに何度も入っており、1年ほど前から知ってはいたのだが、ただ聴きに行くだけというのは気が引けたので、この時期になった。
社長も予約なしで突然来る人が多いらしく、そろそろやめようかと言っておられたので、ちょうどよかった。
一般庶民にはそうそう手が届かない高級スピーカーである。
オートグラフの音は知っていたが、パラゴンは初。
パラゴンは押し出しのあるくっきりした音が特徴。
オートグラフはやわらかい優雅な音がする。
ただ残念なことにレコードではなく、すべて音源はPCのデータに落としたもの。
iPadで操作していた。
CDすらPCに入れるのでプレーヤーはない。
レコードはCDが出てすっぱりやめてしまったとのこと。
レコードのよさはわからないようだ。
オーディオもケーブルを交換して音が変わるという類のものもよくわからないらしい。
当然だが、レコードの音の厚みやあたたかみと言ったところで、伝わるはずもなく。
聴いてきたCDの録音が悪かったのじゃないかと言われる。
レコードからCDにスパッと切り替えた人は、ノイズが入る心配がない、音がクリアになったと喜んだだろうから当然だ。
ただ、CD世代でレコードに時代を逆行した私のような人間がいるということは、やはりそこには何かが在ると思ってみてもよいのではないか。
オートグラフもパラゴンもすでに製造中止になっている。
にもかかわらず、単なるレトロ嗜好以外でそれらで聴こうとするのと同じように。
スピーカーだけでなく、アンプもすべて真空管で一級品。
UESUGIやLUXMANのKT88、最近置かれた京都のメーカーのテクノクラフト。
こういう名機を見て聴けば聴くほど、うちのトーレンスのレコードプレーヤーをつなげて聴いてみたらどうなるだろうという思いばかりが巡った。
ちなみに、うちのスピーカーはタンノイのオートグラフミニ。
大きさはミニというだけあって、オートグラフの何十分の一。
マニアにはスピーカーは大きくないとという人が結構いる。
たしかに迫力、地面を伝わる振動などはそうそう適わない。
ただ音質だけを言えば、小型でも正直遜色を感じない。
大型機を置けるスペースなどもちろんなく、社長にそのための家を建てることを勧められたりしたが、どうもそういう欲求が起こらない。
バッハの無伴奏を聴いているが、小さな身体ながら、チェロのような低音でも声量たっぷりに歌ってくれる。
まあ、みなうちの子が一番と思っている節がある。
手塩にかけてグレードアップしてきたのなら、なおさらだろう。
それはそれでよい気がする。
大金持ちが簡単に最高級機を知識もないままにそろえてしまうよりは。
音を育てる楽しみはほかに換えがたいものがあるのだから。