《古書・古本の出張買取》 ロバの本屋・全適堂 の日記
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はしごカフェ
2012.04.28
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連日のようにはしご酒ならぬはしごカフェをしている。
1日2軒行くことも珍しくない。
まるで女子のようだが、京都はカフェ激戦区でもあるので、なかなか楽しい。
以前に日記でも書いたように、1日1食になっているので、ケーキセットがちょうどいいおやつになる。
基本的にはカフェは本を読みに行くところだ。
最近は家ではなく、もっぱらカフェで読書。
ほかにすべきこともないので、集中できる。
より集中しやすいカフェ探しをしていると言ってもよい。
今週だけでも、書いておきたいところが何軒かある。
高野の丸山書店跡の大垣書店に併設されたカフェ。広くはないのに広さを感じる空間。
近場の「箔屋」、おそらくカフェの中では一番本が多い「Bibliotic Hello!」、ともに町屋を改装している。
後者で『世界の夢の本屋さん』という美しい本を見つけたので、ネットで注文する。
同じく町屋の「HiFi Cafe」で、まだ1ヶ月もたたない「Cafe MONTAGE」を紹介してもらった。
ここは演奏や演劇もやっていこうとするカフェで、タンノイのスピーカーなどオーディオもなかなかのもの。
特筆すべきは、蓄音機で、これまで聴いたSPレコードのひどい音とはまったく違う、きれいな味わい深い音が聴けたことだ。SPレコードの認識をまったく新たにした。
120年前のスタインウェイのピアノもある。
若い店主だが、調律もでき、音響をやっていたらしく、手づくりで音響版を配置している。
ゆえに響きもよい。ここまでやるカフェは京都では見たことがない。
リハーサルにも使われ、お茶を飲みながらリハーサルを聴くことができる。
やはり生演奏はいい。
カフェで最近読んだ本『どんな本でも大量に読める”速読”の本』(宇都出雅己・大和書房)の話を。
これまでいろんな読書法や速読に関する本を読んできたが、もっとも常識的で妥当なところが書かれてある。
速読力=速読技術×(知識・情報・経験などの)ストック
この公式に尽きる。
つまり知識のない本は読むのが遅く、読むものが自分の中にあればそれに比例して速くなる。
本は自分の外にあるものを読んでいるのではなく、本を通じて自分自身を読んでいる、この当たり前のことに気づいていない人が多い。
読書は自己との対話であるとは、何も精神的な分野に限定されることではない。
すべて本来そうなのだ。
よって、速読技術より、いかにストックを溜めていくかのほうが大切。
本を読む人と読まない人では前者のほうが当然速い。
それは、速読法云々ではなく、単に経験値が高く、書き言葉に慣れているということによる。
ストックがないこと、これを養老孟司はバカの壁と呼んだのではなかったか。
だから、これは見下した言葉ではなく、誰もがバカの壁を持っているということだ。
ただ、その方向へ自身を開けばバカの壁は崩れていく。
繰り返し触れていけば記憶も理解も強化される。
要は、その繰り返しを放り出してしまうやり方は失敗、もしくは自分に合わないということ。
どれだけ障害なく繰り返せるか、ここがポイントとなろう。
子どもが何度も絵本を読みたがるように読めれば最高だ。
それができれば、どんな方法でも構わない。方法はあったほうが便利だ、くらいになる。